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DATE : 2025/01/05 (Sun)
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DATE : 2009/05/03 (Sun)
半月のことを、別名で「片割月」とも呼ぶ。

昼間は暑いくらいになるこの頃でも、
夜にはまだまだ冷えることもある。

そんな夜に―


  片破月夜

片破月の光を浴びて
スカラベは輝く。
残り香は優しく香り
もう会うこともないであろう。
風が緑色に色づき
温んだ水に浸かる頃。
弦月を見上げ
再び出会うことを望んでいる。
あれは夢か現か
月の赤さのせいであるのか。
柔らかな温もりと安らぎはすでになく。
月は躯をますます冷やしゆく。


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Creative Commons License
片破月夜 by t.ogawa is licensed under a Creative Commons 表示-非営利-改変禁止 2.1 日本 License.
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DATE : 2009/04/25 (Sat)
疲れ切ってしまったとき、
なんだか、自分が自分ではなくなってしまったような、
意識が、
身体を離れてしまっているような、
そんな感覚になることがあったりもする。


帰り道

黄色の箱の中
したたかに酔って眠る人
うつろの宙を見つめる人
黄色の箱の中
その中に満たされた空気は
意思の疎通を許さないかのようだ
ちりちりと青白い光の下
黄色の箱の中
何かが抜け落ちてしまったかのように
ぽつぽつと座る人たち
わたしもその一人となって
揺られて座っている
闇に映るのはわたしの顔ではなく
わたしに似た誰かの顔

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帰り道 by t.ogawa is licensed under a Creative Commons 表示-非営利-改変禁止 2.1 日本 License.

DATE : 2009/04/18 (Sat)
山之口獏には、思わずニヤリとしてしまう詩がたくさんある。
「頭を抱える宇宙人」もその一つだし、この「税金のうた」もまた、
ユーモアに溢れている。

詩の内容は、どうにも貧乏な生活の一場面であるのだが、
なんとも、ほのぼのとした雰囲気が漂う。


税金の歌

地球のうえを
ぼくは夢中で飛び廻った
税金ならばかかって来ないほど
ぼくみたいなものにはありがたいみたいで
かかって来てもなるべく
税金というのはかるいほど
誰もの理想に叶っているのではなかろうかと
ぼくはそのようにおもいながらも
免税を願っているのでもなければ
差し押さえなんぞくらいたいほどの
物のある身でもないのだ
ぼくは自分の家庭に
納めなくてはならない筈の生活費でさえも
現在まさに滞りがちなところ
税金だけは借りてもなんとか納めたいものと
地球のうえを
金策に飛び廻った
ところが至るところに
ぼくは前借のある身なのであったのだ
いま地球の一角に
空しく翼をやすめ
どんな風にして税金を納めるかについてぼくは考えているところなのだ
文化国家よ
耳をちょいと貸してもらいたい
ぼくみたいな詩人が詩でめしの食えるような文化人になるまでの間を
国家でもって税金の立替えのできるくらいの文化的方法はないものだろうか


脱税で摘発されているような方たちには、理解できない詩かもしれませんが。

DATE : 2009/04/13 (Mon)
満開の頃までは、天気のよい昼間に眺めるのが好きだが、
散り始めてからは、夜に眺めるのが雰囲気があって良い。
それが月夜なら、言うことなし、ではないか。




今を盛りと一斉に咲いた花たちは、
その短すぎる刻を終えて去ってゆく。
静かに咲き続けることも許されず、
風に追われ捕らわれて行く。
無機質な光に照らされながら、
足早に闇へと消えてゆく。
花の雨の中に立ち風のうなりを聞く。
去り際に美しさを魅せる、
花の姿を見送る。
触れもせずすり抜けるように去ってゆく。
私と傍らの猫の他には、
美しき花たちを見送る者はいない。

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DATE : 2009/04/10 (Fri)
お話を一つ・・・
ある月夜の出来事のお話です。


ナッツの好きなお月さま
 
いっぱいにナッツがつまった袋を持って
宙に放り投げては食べながら歩いていると
月が昇ってきた。
気にもとめずにナッツを放り投げては食べ、
放り投げては食べて歩いていた。
そのうちに放り投げたナッツが落ちて
こなくなってしまった。
変に思って投げたナッツをずっと見ていると
空高くまでいった所で、
月がぱくっと食べてしまった。
何度投げても月に食べられてしまうので
口惜しくなって、一度にたくさんの
ナッツを投げてやった。
さすがにお月さまも全部を食べることは
できなかったようでバラバラと音がして
地面に落ちてきた。
でもよく見ると落ちてきたのはたくさんの
星たちで、空を見上げると星のかわりに
ナッツが空に浮かんでいた。
そしてナッツに囲まれた月がうれしそうに
笑っていた。

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ナッツの好きなお月さま by t.ogawa is licensed under a Creative Commons 表示-非営利-改変禁止 2.1 日本 License.
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