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DATE : 2025/01/20 (Mon)
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DATE : 2009/05/03 (Sun)
半月のことを、別名で「片割月」とも呼ぶ。

昼間は暑いくらいになるこの頃でも、
夜にはまだまだ冷えることもある。

そんな夜に―


  片破月夜

片破月の光を浴びて
スカラベは輝く。
残り香は優しく香り
もう会うこともないであろう。
風が緑色に色づき
温んだ水に浸かる頃。
弦月を見上げ
再び出会うことを望んでいる。
あれは夢か現か
月の赤さのせいであるのか。
柔らかな温もりと安らぎはすでになく。
月は躯をますます冷やしゆく。


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片破月夜 by t.ogawa is licensed under a Creative Commons 表示-非営利-改変禁止 2.1 日本 License.
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DATE : 2009/04/25 (Sat)
疲れ切ってしまったとき、
なんだか、自分が自分ではなくなってしまったような、
意識が、
身体を離れてしまっているような、
そんな感覚になることがあったりもする。


帰り道

黄色の箱の中
したたかに酔って眠る人
うつろの宙を見つめる人
黄色の箱の中
その中に満たされた空気は
意思の疎通を許さないかのようだ
ちりちりと青白い光の下
黄色の箱の中
何かが抜け落ちてしまったかのように
ぽつぽつと座る人たち
わたしもその一人となって
揺られて座っている
闇に映るのはわたしの顔ではなく
わたしに似た誰かの顔

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帰り道 by t.ogawa is licensed under a Creative Commons 表示-非営利-改変禁止 2.1 日本 License.

DATE : 2009/04/13 (Mon)
満開の頃までは、天気のよい昼間に眺めるのが好きだが、
散り始めてからは、夜に眺めるのが雰囲気があって良い。
それが月夜なら、言うことなし、ではないか。




今を盛りと一斉に咲いた花たちは、
その短すぎる刻を終えて去ってゆく。
静かに咲き続けることも許されず、
風に追われ捕らわれて行く。
無機質な光に照らされながら、
足早に闇へと消えてゆく。
花の雨の中に立ち風のうなりを聞く。
去り際に美しさを魅せる、
花の姿を見送る。
触れもせずすり抜けるように去ってゆく。
私と傍らの猫の他には、
美しき花たちを見送る者はいない。

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by t.ogawa is licensed under a Creative Commons 表示-非営利-改変禁止 2.1 日本 License.

DATE : 2009/04/10 (Fri)
お話を一つ・・・
ある月夜の出来事のお話です。


ナッツの好きなお月さま
 
いっぱいにナッツがつまった袋を持って
宙に放り投げては食べながら歩いていると
月が昇ってきた。
気にもとめずにナッツを放り投げては食べ、
放り投げては食べて歩いていた。
そのうちに放り投げたナッツが落ちて
こなくなってしまった。
変に思って投げたナッツをずっと見ていると
空高くまでいった所で、
月がぱくっと食べてしまった。
何度投げても月に食べられてしまうので
口惜しくなって、一度にたくさんの
ナッツを投げてやった。
さすがにお月さまも全部を食べることは
できなかったようでバラバラと音がして
地面に落ちてきた。
でもよく見ると落ちてきたのはたくさんの
星たちで、空を見上げると星のかわりに
ナッツが空に浮かんでいた。
そしてナッツに囲まれた月がうれしそうに
笑っていた。

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ナッツの好きなお月さま by t.ogawa is licensed under a Creative Commons 表示-非営利-改変禁止 2.1 日本 License.

DATE : 2009/04/02 (Thu)
雨も季節によって、その雰囲気が異なります。
春先の雨は、ちょっと騒々しいかもしれません。

時期が違えば、こんな雨が降ったりします。


  雨が降っています

静かな夜
淋しげに雨は降っています。
ぱたぱたと地を叩く音が
こほこほとわたしの咳を誘います。
わたしは吸いかけの煙草を手に
そっと目を閉じます。
頭のてっぺんからすーっと
煙になっていくのを感じます。

ちらちら光る街灯の下で雨が
銀色の針の束となって降りそそぎ
堅く塗り込められた地に
跳ね返されているのが見えます。
軒下にはまっ白な猫がうずくまり
あきらめ顔でこちらを見ています。

艶やかに黒い
まあるい猫の瞳の中にも
雨は降っています。

煙となりわたしでなくなったわたしは
うずくまることもできず
夜と朝の間で漂っています。
 

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雨が降っています by t.ogawa is licensed under a Creative Commons 表示-非営利-改変禁止 2.1 日本 License.
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